会長サロン(2012年 2月)<前月 | 次月>

「携帯端末依存症候群」

会長 岸本敏和

会議の途中に携帯電話が着信を知らせる。退屈な会議から開放されたかのようにそそくさと会議室を出て電話に応対しているが、誰もそれを咎めようとはしません。電車の中でも平気で座席に座ったまま仕事の話や遊びの話をしています。驚いたことに先日エレベータの中で話をしている人に遭遇しました。

総務省の調べによりますと、昨年3月末時点での携帯電話の普及率(世帯)は約92%を超え、総契約数(昨年12月末)は1億2千4百万台と我が国の人口以上の普及率になったそうです。

多くの人たちが駅のホームで、バスの中で、喫茶店で…。誰と話をするのでもなく、黙々と携帯電話に向かってメールやゲームをしています。“群衆の中の孤独”という言葉がありますが、携帯情報端末に向かっているときは孤独ではないようです。かく言う私も、仕事用と会務用の2台の携帯電話を所持し、携帯情報端末も加え各種情報のやりとりに使っています。確かに便利なもので どこにいても返事をすることができますし、確認や指示を伝えることも瞬時にすることができます。出張の時などは電車の空席状況や席の予約、知らない街ではナビゲーターにもなり、スペルを忘れた英単語や言葉の意味も調べられ仕事には大いに活用しています。

しかし、昨年の夏出張先の役所の洗面所で水没させてしまい終日通信不能になりました。情けないことに記憶している電話番号は私の事務所と自宅ぐらい。携帯電話が普及する前は、手帳にお客様や友人・知人の電話番号は必ずメモしてありましたが、今やそれらの情報はすべて携帯電話の中。用件を伝えなければならない方に連絡もできず、一瞬パニックになった自分がありました。出張先の雑踏の中でまさしく“群衆の中の孤独”を痛感しました。

また、昨年暮れには何かの不具合で一部電子メールが不通になり情報連絡ができず不安の中で年が明けました。(休業日にも係らず…)

日常生活の中で仕事を中心にして多くの事柄や案件を携帯情報端末を用いて、連絡や情報処理を素早くこなしていくことが“良いこと”だと思い、携帯情報端末に依存しきっております。もちろん現在でも大いに“依存”しています。しかし“あの夏の日の出来事”や“年末年始”のことを思い出せば、携帯情報端末の機能がシャットダウンした時のことを想定しておかなければなりません。

年齢は私よりも若く大手組織に勤務し、しかもハードセクションのトップを務めながら、携帯電話や携帯情報端末は一切所持せず(もちろん仕事でのパソコンや電子メールは使っていますが)出先からの電話はすべて公衆電話で済ませて、今では懐かしいテレフォンカードを愛用している知人がいます。
彼曰く「重要な情報は放っておいても入ってきます。早いか遅いかの違いにすぎません。問題は、それをどう咀嚼し解決するかが大切であって、瞬時を争うような大問題は滅多に起こるものではありません。携帯情報端末がなくても充分に仕事はできます。連絡にしてもこちらから一定頻度で電話をすれば問題ありません。第一仕事に追い掛けられなくて済みますし、家内からも追い掛けられないから深夜までお酒が楽しめます。岸本さんは、仕事中毒が原因の携帯端末依存症候群では…?」と。

平成24年2月1日
静岡県行政書士会
会長 岸本敏和

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