知的財産・知的資産

企業・団体・自治体等(以下「企業等」と表示)にとって「知的資産」とは何ですか?

企業等の競争力の源泉となる「その企業等独自の魅力や強み(無形の資産)」をいいますが、具体的には、以下のものがあります。わかりやすいように3つに分けてご紹介していますが、3つすべてをまとめた概念が「知的資産」です。

  • 知的資産

    経営理念、人材、技術力、品質のこだわり、商品・サービスのこだわり、ネットワークの強み、社員教育システム、仕入れの強み、販売チャネルの強み等

  • 知的財産

    発明・考案・著作物・新品種その他の知的創作、ブランドや商号に蓄積された信用、営業秘密、ビジネスモデル等

  • 知的財産権(権利化されたもの)

    産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)、著作権、育成者権、半導体回路配置利用権等

「知的資産経営」とは、どういうものですか?
「知的資産経営」とは、財務諸表(PL、BS等)には表れない「企業等の無形の魅力、強み(知的資産)」を把握し、利害関係者であるステークホルダー(取引先、金融機関、株主、顧客、従業員、就職希望者等)に見える形で開示、もしくはステークホルダー向けに活用し、ステークホルダーからの信頼を得て経営の発展に役立てる経営のことです。
企業、特に中小企業の競争力は、財務データのように表面に見えるものだけでなく、その会社が有している「無形の魅力、強み(知的資産)」が縁の下の力持ちのように支えていることが多いのです。
しかし、企業が有している知的資産のなかでも、権利化された知的財産権以外の知的資産は、外部からは見えにくく、内部からもその存在が意識されず、これを積極的に経営資源として活用しなければ、「宝の持ち腐れ」になってしまいます。
そこで、そういう知的資産を積極的に外部に見える形にして、意識的に経営資源として活用する経営方法を「知的資産経営」と呼んでいます。
「知的資産経営」は、いまある「無形の魅力、強み(知的資産)」を意識し、活用するものですから、今日からでも取組むことができるものです。
ですから、「知的資産経営」は、特に中小企業に適した経営手法であるといえます。
「知的資産」は、どの中小企業にもいくつかはありそうですね。そうすると「知的資産経営」は、どの中小企業も無意識に取り組んでいるということですか?
Q1Q2でご説明しましたように、少なくとも何らかの「知的資産」は、どの中小企業にもあるということができます。ところが、「知的資産」を保有する中小企業がすべて「知的資産経営」を行っているかといえば、必ずしもそうではありません。
まず、知的資産の存在を意識し、それを積極的に経営資源として活用することが必要です。そのためには知的資産を外部(ステークホルダー)に見える形にして開示します。
すなわち、知的資産を保有していても、「無形の魅力、強み」を何らかの形で活用し、ステークホルダーからの信頼を得て経営の発展に役立てることができていないときには、知的資産経営を行っているということはできません。言い換えれば、知的資産をその企業の価値創造につなげているときに知的資産経営を実践しているということになります。
中小企業が知的資産経営を行う目的が、「中小企業の『無形の魅力、強み』を開示し、ステークホルダーからの信頼を得て経営の発展に役立てること」であるならば、その効果やメリットは何ですか?

以下のような経営の発展に役立つ効果・メリットが期待されます。

  1. 企業価値が外部から見えやすくなり、企業価値が高まる。
  2. 新たな販売先の獲得
  3. 技術力が評価され、開発依頼、業務提携の拡大
  4. 金融機関関係先の評価を得た資金調達の円滑化
  5. 経営理念の従業員への浸透、社員教育への活用
  6. リクルーティングへの活用(わかりやすい魅力と強みの開示)
  7. 事業承継への活用
「知的資産経営報告書」とは、どのようなものですか?
知的資産経営を開示するためのツールです。
経営理念、業務概要、沿革の他に無形の強みや魅力の内容、過去から現在までの知的資産を活用した活動内容、現在から未来に向けた知的資産を活用した事業計画が開示されることが多いです。また、強みや魅力を今後いかに伸ばすのか、経営課題の解決や克服にいかに取り組むか等も必要に応じて開示されます。
近年、政府の中小企業支援政策として「知的資産経営」の導入が積極的に推進され、「知的資産経営報告書」を作成し公表する企業が増えつつあります。しかし、まだ全国的に普及するまでには至っていません。今、知的資産経営報告書を開示している中小企業は、それだけ先進的・積極的な経営姿勢の企業として高く評価されています。
参考(経済産業省「知的資産経営ポータル」)
http://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/index.html
「知的資産経営報告書」を当該中小企業が自ら作成する場合と行政書士等の作成支援者に協力を依頼する場合とを比較したときに、どのような違いがありますか?

本来、知的資産経営報告書は企業の知的資産経営の成果を開示するものですから、その企業自ら作成することが望ましいといえます。
しかし、行政書士等の外部専門家が、作成支援者として関与したときには、以下のようなメリットがあります。

  1. 経営者が気づかない知的資産の抽出
  2. 第三者の視点による客観性公平性の確保
  3. 文書化の専門家が提供する分かりやすさ
  4. 論理性、ストーリー性の確保
  5. 信頼性につながるKPIの掘り起こし
  6. 人的資産の構造資産化の支援
    (人的資産:個人の優れた能力等をいいますが、退職時には持ち出されます。) 
    (構造資産又は組織資産:組織や会社に属する資産、退職しても会社に残ります。)
  7. 公開性と秘密性に関する提案
  8. 営業秘密保護に関する具体的提案
    (不正競争防止法による保護、公証制度の活用等)
  9. 今後の経営課題を明らかにし、検証・改善のご支援
  10. 共感を生む報告書、感動が伝わる報告書となるような工夫

※KPI(Key Performance Indicators):主要な業績評価の指標
販売、財務、サービス、技術等のレベルを示すための指標
処理時間、稼働率、業務の効率、品質を客観的に表現する数値化された指標等

「知的資産経営報告書」作成支援以外に行政書士が関与する「知的資産関連業務」にはどのようなものがありますか?
  1. 企業価値の創造支援その他知的資産経営コンサルティング
  2. 有用な技術情報・業務手順の文書化及び秘密管理、社員教育サポ−ト
  3. 特許規程・職務発明規程、著作権規程、営業秘密管理規程等作成
  4. 研究開発・実用化開発・事業開発のための事業計画書作成
  5. 知的財産権譲渡契約書、知財ライセンス契約書、商品化権契約書、共同開発契約書、秘密保持契約書、業務提携・販売提携契約書、フランチャイズ契約書等
  6. 著作権登録申請代理(著作権譲渡の登録、第一公表日・発行日登録、実名登録、プログラムの創作年月日登録等)
  7. 産業財産権に係る移転、表示変更登録申請代理
  8. 特許・実用新案・意匠権に係る専用実施権登録、商標権に係る専用・通常使用権登録申請代理
  9. 電子公証を利用した先発明・先使用の証明、ノウハウの秘密管理等
  10. 植物新品種登録申請代理(品種登録、移転登録、利用権登録等)
  11. 半導体回路配置利用権登録申請代理
  12. 知的財産権に関連する警告書・通知書等(内容証明嘱託代理含む)
「知的財産権」とは何ですか?
著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、育成者権(植物新品種の育成者に付与される権利)、半導体回路配置利用権など、人間の幅広い知的創作活動の成果を法律で権利として保護するようにしたものを、まとめて「知的財産権」と呼んでいます。
「産業財産権」とは何ですか?
特許権・実用新案権・意匠権・商標権をまとめて「産業財産権」と呼びます。産業財産権法という固有の法律はありません。それぞれの法律(特許権・商標権等)の総称を産業財産権法と呼びます。かつて産業財産権を「工業所有権」と呼んでいた時期もありましたが、現在では「産業財産権」という名称が一般的です。財務諸表の勘定科目においても「産業財産権」の名称が使用される場合もあります。
特許は大発明、実用新案は小発明と聞きましたが、ライセンスを受けるときに特に重要な留意点がありますか?
現在の法制度の下では、実用新案権は無審査で登録されるため、登録番号が付されていたとしても、特許のように強力な独占排他権を特許庁が認めたものではなく、権利行使に当たっては制限が課されています。そこで実用新案権についてご説明します。
特許権の場合は、特許庁審査官により新規性進歩性等の特許の要件が審査されていることが前提となりますが、実用新案権は無審査で登録されるため、新規性進歩性等の要件を満たさない実用新案登録出願があったときでも、方式要件を満たしていれば登録されてしまいます。そこで、実用新案権が認められた権利は、玉石混交状態であるということができます。
実用新案権を保有しているとする権利者から権利譲渡の申出、実施許諾などのライセンスの申出があったときには、注意が必要です。
登録されている実用新案権が、実効性のある権利(独占実施しうる内容)かどうかを確認したいときには、その実用新案権につき実用新案技術評価書を特許庁に請求することができます。これは実用新案権を保有する権利者でなくても請求できますので、実用新案技術評価書を得て、国内で独占実施しうる権利かどうかを確認することができます。ただし、実用新案技術評価書は、刊行物記載に基づく新規性と進歩性を判断するものであり、公知・公用についての評価がされないことに留意しなければなりません。
実質的な権利のない実用新案権の譲渡や実施許諾にはご注意ください。
ライセンス契約の事実を登録することでライセンシーはどのようなメリットがあるのかについてですが、ライセンサー(許諾者)が権利を譲渡したときでも、新たな権利者に対して、ライセンシーが対抗要件を主張できることがメリットとなります。
なお、行政書士は、実施・使用の許諾を受けた方(ライセンシ−)の権利を保護するための専用実施権・通常実施権・専用使用権・通常使用権の登録申請を特許庁に対して代理手続を行います。
新商品の開発を行いました。その商品の名称(ブランド)として、業界でよく知られた大手企業の商品と近似したネーミングで商品販売しようと思います。そのほうが売れると思いますが、何か気をつける点がありますか?
有名なブランドと近似したネーミングの商標を採択すると、当該有名ブランド商品との営業主体の混同が生じる可能性があります。そのようなとき不正競争防止法により差止請求・損害賠償請求の対象となったり、刑事罰が課されるおそれがあります。有名ブランドにすりよるネーミングは長期的に見ても何らメリットはありません。よい品質で喜ばれる商品を提供するのであれば、他人の商標と類似しない商標を採択し、その商標に顧客からの信用が蓄積するような努力をすることが重要です。
また、有名なブランドは殆どの場合商標登録しており、その登録商標に新商品の商標が類似するときは、商標権侵害となるおそれもあり、当該事業を推進できないばかりでなく、民事上刑事上で責任を問われるおそれがあります。
特許権の譲渡を受けました。特許庁に登録申請しなければならないものなのでしょうか?
特許権を第三者に移転したときは、移転の事実を特許庁に登録しないと効力が発生しません。
特許権のほか、実用新案権、意匠権、商標権についても同様です。
行政書士は、上記の権利移転について特許庁への移転登録申請の代理手続を行っています。
通常実施権の当然対抗制度とは何ですか?

2012年4月1日施行の改正特許法によって、特許権、実用新案権、意匠権に係る通常実施権について、新たに当然対抗制度が導入されました。それ以前は、特許原簿等への通常実施権の登録が第三者対抗要件でしたが、当然対抗制度により通常実施権の登録をしなくても第三者に対抗できるようになりました。
イメージしやすいように、事例を挙げて説明します。2012年3月31日以前は、ある他人の特許権を実施したい人が、その実施の許諾を特許権者に求め、これを特許権者が承諾した場合は、特許権者(ライセンサー)と通常実施権者(ライセンシー)の間の契約が有効に成立し、合意した事項を正しく履行していれば、ライセンシーは、安心してその特許を実施できるはずでした。
そこでライセンシーは、特許庁への通常実施権の登録制度があることは知っていたが、通常実施権の許諾自体は契約により成立しているので、面倒だし費用もかかる登録をしなかった場合、特許権者が何らかの理由により、その特許権を第三者に譲渡してしまうと、新たな特許権者は、特許原簿に通常実施権の登録をしていないライセンシーに差止請求、損害賠償請求をすることができたのです。しかし、ライセンシーが通常実施権の登録をしていれば、新しい特許権者に対抗することができました。つまり、第三者対抗要件としての通常実施権登録制度が存在したのです。
しかし、改正特許法により2012年4月1日から、その登録が必要でなくなりました。通常実施権の登録をしなくても第三者に対抗できるようになったので、これを当然対抗制度と呼びます。ライセンシーの負担軽減につながる法改正でした。
なお、商標権の通常使用権には、当然対抗制度は適用されません。従来通り、商標登録原簿への通常使用権の登録が第三者対抗要件となります。
(参考)
通常実施権のライセンス契約においては、特許庁への通常使用権の登録申請について定める必要はなくなりましたが、登録制度がなくなったことにより新たな問題が指摘されています。
それは、第三者に特許権が譲渡されたときに、ライセンサーの地位も譲渡されるのかという点が法的に明確にされていないことです。具体的には、以下の3つに代表されるケースが考えられます。

  1. 特許権の譲渡とともに、ライセンサーの地位も承継される。
  2. 特許権の譲渡によっても、ライセンサーの地位は承継されない。新たな特許権者(譲受人)は、不作為義務を負うのみである。
  3. 特許権の譲渡によっても、ライセンサーの地位のすべては承継されない。実施料の請求と受取等といった合理的なもののみが承継される。

ライセンス契約においては、上記のケースを参考にして、当事者間で具体的に検討して、契約書面において、明確に取り決めることが重要です。

植物の新品種の開発に成功しました。新品種の登録をする制度はあるのでしょうか?
農林水産省に新品種の登録ができる制度があります。新しい品種であるのか、新品種が安定的継続的に栽培可能であるのか等の要件が審査され、登録されたときには、独占的な権利が与えられます。これを「育成者権」といいます。
行政書士は、植物の新品種についての農林水産省へ代理手続を行っています。なお、この手続は行政書士の独占業務となっています。

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